拍手お礼D (佐藤+高木+千葉) 「んーっ!終わった!!」 佐藤は空に向かい、思いっきり伸びをした。 この数日かかりきりだった事件に、ようやく片が付いた。 何となく解放感のようなものを感じたくて、一緒に事件を担当していた後輩二人を連れて屋上へとやってきている。 辺りはもう白み始めていた。太陽が顔を出すのも、時間の問題だろう。 ふと佐藤が隣を見やれば、一人は朝の冷えた空気を取り込むかのように大きく深呼吸をし、一人は事件解決の安堵感からか大きなあくびをしていた。 それぞれがそれぞれらしいその行動に、思わず佐藤は小さく笑う。 と、そんな彼女の横顔に、明るい光が一筋差し込んだ。 「あ……」 「夜が明けましたね」 視線を前方へと戻せば、ビルの合間からジワジワと太陽がその姿を現し始めていた。 「僕、陽が昇るのをこうやってまじまじと見るのは久しぶりです」 しみじみとした高木の声に、佐藤も頷く。 「私も。ほんと、こういう瞬間って……――」 きれいよね、と続けようとした言葉は。もう一人の後輩の声によってかき消された。 「こういう瞬間は、目玉焼きが食べたくなるっすよねー」 「え?」 「は?」 笑顔全開の千葉を、佐藤と高木は呆然と見詰めた。 それに気付いた千葉は、キョトンとした顔になる。 「あれ?朝日を見てると、そんな気分になりません?」 そこで、タイミングを計ったかのように鳴った千葉の腹の虫に。 顔を見合わせた佐藤と高木は、たまらず同時に噴出した。 「ははっ!千葉、お前ってほんと……!!」 「あはは、いいわね。事件解決祝いも兼ねて、これから朝ごはんに行きましょうか。目玉焼きが出てくるお店でも探して」 笑い顔二つに、困惑顔一つ。 三つの影が、のんびりと歩き出す。 「でも、こんな時間にやってる店で目玉焼きって、ありますかね?」 「何言ってるのよ、高木君。こういう時こそ、刑事の捜査力の見せ所でしょ」 「えぇ?こんなことに使うんですか?……でもまぁ、無難なのは二十四時間営業のファミレスとか……」 「あ、オレ、ハムエッグだと更に嬉しいっすよ」 「あー、ハイハイ。ハムが付いてるからな」 完全に人影の消えた屋上を、完全に姿を現した太陽が眩しく照らし出していた。 ☆━☆━☆━☆━☆━☆━☆━☆━☆━☆━☆ ★何というわけではない、日常の一場面。そんな話を書きたくなりまして。 3人の“仲間”の雰囲気がちょっとでも出ている…といいな。(笑) |
☆08年2月24日まで頑張ってくれていたお話です。