botan-ao原作(小説) 感想botan-ao

 

「箱は(マ)のつく水の底!」 ※文庫本の感想なので、いつも以上に感想が長いです。

あ〜も〜、登場人物紹介の時点で庭番の姿なし。もちろん出番もなし。覚悟してましたけど、やっぱり辛いですね。彼の生死も判断つけがたく。(←このことについては後半でまた語ります)

冒頭のお約束、キャラの独り語りは……今回はもう“お休み”というべきですかね?あえて言うなら有利なんでしょうけど、一行ですし。まぁ、内容が内容なだけに、いつものようなお笑い要素を含む明るい始まり方はできませんよね。もう、頭っから終わりまで、これでもかというくらいに有利、受難だらけです。喬林先生、彼を痛めつけすぎですよ〜〜。(泣)

前刊に続き、有利は目が見えなくなっていました。後でコンラッドが、瞳が光に慣れていないだけかと思ったと言っていましたが、私もまさしくそうでして。前刊を拝読した時はそんなに心配していなかったんですよ。だから驚きました。視力低下の原因……ストレスや疲労からということで話は進んでいますが、もしジュリアさんが目が見えなかったことや、通訳のアチラさんが言っていた地下の住人の多くが盲者だったことに絡んでいたりすると、話はカナリ複雑そうです。

そしてAsukaでも語られていた、腹黒三人の大活躍…もとい大暗躍。(苦笑)一人ずついってみましょうかね。

まずはサラ。サラ好きの方には申し訳ない毒舌を吐く恐れがあるので、嫌な方は回れ右orこの段落だけすっ飛ばして読んでください。……いいですね?始めます。 “アナタはもう一生袋詰めのままでいて下さい。”そう思ってしまう今日この頃。絶対敵に回したくないタイプですね。特に心理戦がひどい。どんどん人の痛いところを突いてくる。ヨザックを「あんな男」だの「死んだ」だの連発するのもムカつきますが、それが有利のせいだというあの発言。あれは有利にはものすごく突き刺さる言葉ではないでしょうか?嫌ですねぇ、本当に。過去に色々あったことが描かれてはいましたが、だからって同情するような内容でもなかったですし。まるマには珍しい、完璧な悪役ではないかと思ってます、私はね。

そしてコンラッド。彼と有利がこんなに早く合流するとは思わなかったので、意外でした。もちろん、ホッとしましたけどね。確かに事前に腹黒宣言をされていただけあり、サラを再袋詰めにしたり、有利への行き過ぎ溺愛行動も見られはしましたが……二十年前のこと、兵士や王としての心構えを有利に諭すシーンはグッときました。そうですよね、隊長としての責任、遺族へ伝える言葉……色々とあるものですよね。そしてヨザックは、有利のために自分を使う決意をしたと……う〜〜っ。(涙) やっぱり本編でのコンラッドはいいですね。かっこいいです。彼に関してだけは、本編以外の話には触れない方がよかったかなぁ……と思います、本当。(苦笑)

ラストはムラケン。ですがその前にお兄さんを。勝利さん、表紙にまでドーンと出ておきながら、出番が少ないです。しかもムラケンの策(?)によりハズレクジ。不幸な方です。そしてその不幸の原因・ムラケン君は、腹黒さ全開です!(笑)喬林先生が村田スペシャルだと仰っていましたが、確かにそうでしたね。とにかく怒涛のように真実が次々と明らかに!でもウチのサイトで常々語っていることですが、彼はやっぱり凄いです。腹黒さもそうですが(笑)、精神面の強さが。昔の人の死の瞬間の記憶(記録)があるなんて、それだけでも普通なら狂ってしまいそうなのに、その情景を思い出し、淡々と語れる。どれだけ強いんでしょう、彼の精神は。 そして意外に正義感も強かった!(←失礼?)車に残された子供を助けに走り、おまけに大切な品を使ってその子を救出。もう、私の中で、彼のランキング順位が確実アップですよ。(笑)「(渋谷と出会えた)今が一番幸せ」という言葉も、また出てきましたね。そう思わせる有利の凄さも、改めて感じました。

さて、この流れで有利のことを。サラと少し同意見なのが悔しいですが(←コラ)、有利は強いですね。本人は内心でそのことについて否定の連続ですが、それでも強いと思います。何度でも立ち上がり、コンラッドと合流した後なんかは、明るい口調も出てきましたし。でも、その後にヴォルフラムと……。折角彼が這い上がり始めたのに、喬林先生〜〜〜。(泣) また、突然出てくる 有利の別人な口調も気になります。あれは何でしょうか?眞王?上様かなぁ〜とも思ったのですが、言っている内容が上様の正義前面な内容とは違う気がするし、ヴォルフラムも「違う声が(聞こえた)」と言っていましたし……。有利と上様の声が違うとしても、ヴォルフは何度か上様の声を聞いていますから「違う声」とは言わないでしょう。気になります。

そしてラスト、お庭番です。みんなしてヨザックが死んだ死んだって……。まだ遺体も無いのにそんなこと言わないでー、無事を信じてあげてー!有利が彼のことを悔やんでいるシーンは一緒に泣きそうでしたよ。有利の言葉がかなり心にきました。 でも、気になるのが喬林先生のあとがきの言葉。「この『箱(マ)』では主要キャラ誰も死んでないから」……これは、素直に受け取っていいのでしょうか?ここからは私の勝手な深読みですから、嫌な方は回れ右して下さい。

まず、この言葉はヴォルフラム(もしかしたらムラケンも)のことを指しているのは確かだと思います。つまり、無事。死んでいないと。問題はヨザック。一応、脇役とはいえ主要キャラではあると思いますから、その点は心配ないと思うのです。が、不安になるのがその前にある「この『箱(マ)』では」という部分。前刊の「宝(マ)」から引き続き、ヨザックも無事に生きてるよ〜。まだ死んでないよ〜。という意味なら嬉しいのですが、「宝(マ)」は「箱(マ)」じゃないでしょ?だからヨザックは……。という意味だったら……ものすごく不安なんですけど。(泣)どっちの意味にも取れる気がしたのは私だけでしょうか?単なる私の考えすぎであることを祈るのみです。

 

 

「(マ)王陛下の花嫁は誰だ!?」

 こちらもある意味、村田スペシャルのような気がしました。ムラケンのご両親や、塾友の登場。タイトルにもなっている花嫁に関する内容の方が遥かに少なかった気がします。(笑)

 まぁ、それはさておき、始まりは駅の階段。有利少年は意外と時間にこだわるらしく、ムラケンとの待ち合わせ時間に2分遅れたと謝罪。何でも、友人の参考書選びに付き合わされるなんてつまらないから、せめて依頼した側が15分前には来て出迎えるべきだそうです。すごいなぁ〜、私はそんなこと一度も考えたことないですよ。(苦笑)ちなみに野球に関する集合は、ムラケンも野球が楽しいだろうから、別に時間にこだわらないと。……ムラケンが野球楽しいって、有利の思い込みでは?(笑)本人は否定も肯定もしませんでしたけどね。

 異世界での魔王職がたたり、留年の文字が見えてきそうな有利陛下は、友人賢者君と共にいざ参考書探しの旅へ……と思ったら、サラリーマンが二人に激突!そのまま階段を転がり落ちた二人は、お互い身体が入れ替わってしまったから さぁ大変。少なくとも、有利にとっては大問題。(ムラケンはむしろ楽しんでいる風でしたね。裸眼で見えることや、フットワークの軽い身体を。やっぱり彼は只者じゃない。笑)目前に迫った試験も、ムラケンが代わりに受けることになってしまうのです。……ん?別にいいんじゃない?ムラケンは頭いいんだし。留年の危機脱出なんじゃ? そういう管理人のようなズルい思考は(苦笑)、有利にはありません。「カンニングと同じくらいまずい不正」と言っています。どこまでも一直線ですね、彼は。私みたいに汚れちゃダメですよ〜。ムラケンみたいに腹黒くなっちゃダメですよ〜。(←をい)

 さて、トイレでの障害も無事に(!?)乗り越えた有利は、ムラケンの姿のままで、村田家に向かいます。(←感想書いてる管理人も、段々説明が訳分からなくなってきましたよ。苦笑) お父様は香港でIT関連の仕事、お母様は弁護士さんと、なかなか忙しそうな眼鏡ご家族。本編にも少し出てきましたが、親は子供放任主義のようですね。慣れていれば何ともないのかもしれませんが、傍から見るとやっぱり、少し寂しそうだなぁ…とか思ってしまいます。そんなの、私の勝手な決めつけだと分かってはいますが。

 そして夕飯を買いに出た有利(見た目:村田)は、女の子にすれ違いざまに声をかけられ、おまけにチョコを差し出されます。そう、バレンタイン(前夜)です。な〜んだ、結構モテるんじゃん、ムラケンってば〜。とオバサン反応をした管理人。(笑)ムラケンの心境を知らない有利が返事に困っていると、「青●アミーゴ」よろしく(笑)村田(見た目:有利)から電話が!彼は、彼女が自分を勉強面でライバル視していること、決戦の今日の模試を途中で抜けたから怒っているんだろうと有利に説明。ついでに電話を変わり、有利として彼女を説得します。……どうにもこの一連のムラケンの言動が怪しく思えたのですが。(苦笑)まぁ、深くは追求しませんけど。それと、「野球バカの渋谷有利」というシズカさんの言葉が、学校での彼の姿を如実に表現していましたね。

 シズカさんに何だか凄い誤解を持たせたらしい二人は、そのまま商店街を歩きます。ムラケンが思い出した重要な問題、「魔王陛下の花嫁選び」。それをするためにも、元の身体に戻らなければならなくなったわけです。その話を聞いた有利、思わず王佐閣下の純白ドレス姿を想像します。隣のページにはテマリ先生の挿絵まで。(笑)でも確かに恐ろしいほど綺麗でした。まさか、お庭番以外の人の女装を見る日がくるとは。ハハ…。挿絵といえば、ムラケンも有利も、中身が違うからとはいえ、普段じゃ見られないような表情が多くて、拝見していて楽しかったです。

 二人がたどり着いた先は、また階段。しかも今度は最上段。ここから二人で落ちて、もう一度入れ替わろうという作戦です。ムラケン(見た目:有利)に腰をホールドされ、有利(見た目:村田)はあせります。死ぬ、しかも物凄く後味の悪い心中扱いで。(笑)結局、近くを通りかかった酔っ払いカップルに突き落とし役を頼むのですが、運悪くそのまま4人そろって階段から転落。……結果、4人の身体が見事に入れ替わりましたトサ。って、えぇ!?ここで終わりですか!?すごく続きが気になる終わり方でした。どうやって元に戻るんだろう……。

 ここからは蛇足ですが、結構他の話ともリンクしていましたね。今回の本編(「箱(マ)」)でも、コンラッドとの会話で「それか(同じだけの衝撃を与えて元に戻るのは)人格交代ね」という有利の台詞がありましたし、NT分室の11月号での眼鏡曇りネタや、3月号での試験ネタを彷彿させるところもありました。喬林先生の仕事の細かさを改めて感じました〜。

 

 

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