拍手お礼A−1

(ヨザック+グウェンダル)

 


 コン、コン。
「グリエ・ヨザック、報告に上がりました」

「……入れ」
「失礼しまーす」
 上司の卓の前まで進み出たお庭番は、机上に置かれた物に目をやり、おや、と呟いた。
「編み物中だったんすか。すみません、趣味の時間をお邪魔して」
「趣味ではなく精神統一だ」
「あ、こりゃ失敬」
 棚に並んだ作品の多さを見れば、趣味と言っても過言ではないと思うのだが。本当に精神統一だとしたら、編みぐるみの数=グェンダルの苦悩ということになる。

……頭に丸いものができないか心配だ。
「今作はネズミですか?茶色のネズミなんて、さすが独特ですね〜」

「……これはクマちゃんだ」

 暫しの沈黙。

「いや〜、さすが!ヴォルフラム閣下が褒め称える気持ち、分かるな〜」
「ネズミに見えたのか?」
「閣下の作品は大人の前衛芸術だって、自分のことみたいに自慢されてましたよ」
「クマちゃんではなくネズミに見えたのか?」

「そういや、クマといえば聞きました?このあいだ町外れの森にですねぇ…――」
「答えろグリエ。ネズミに見えたのか?」


*    *    *    *    *    *    *    *    *
ありがちなネタ。(笑)

冷や汗をかくお庭番を想像してあげて下さい。

 

 

 

 

 

 拍手お礼A−2

(ヨザック+有利)



 本日オレは、特殊で、しかも結構重要な任務を与えられた。
 それは。

「陛下ー、朝ですよー」
 ノックの後に、坊ちゃんの部屋の扉を押し開ける。
 隊長が遠征に行くことになり、本来ならあいつの役目であるこの作業がオレに回ってきた。しかも隊長直々のご指名。曰わく、「お前が一番暇そうだ」。

……忙しい諜報員の折角の休日に、早起きしろってか?鬼め。

 坊ちゃんは広いベッドの隅っこで丸まっていた。未だ夢の中らしい。

貴重な睡眠時間を返上するからには、任務を楽しむ……いやいや、まっとうするべきだろう。
 オレは坊ちゃんの身体を揺すりながら、耳元で女口調をつくった。
「あなた〜、朝よ。起きて〜」

「う……ん〜」
 顔をしかめつつ、ゆっくりとその目が開かれる。
 綺麗な漆黒の瞳とかち合う。が、その色を堪能する間もなく、ガバッと彼が起き上がり、寝台上で後ずさった。
「ごっ、ごっつい厚化粧ウーマン!」

 

……坊ちゃん、いくら寝ぼけてるからって、グリ江は悲しいです。
 せっかく新婚さん気分で起こしてあげようと、化粧だけじゃなく、フリフリエプロンまで着けてきてあげたのに。
 よりにもよって、ごつい厚化粧の“馬”だなんてっ!


*    *    *    *    *    *    *    *    *
管理人がお庭番にやらせてみたかっただけです。出来心です。(←うわー。)

 

 

 



拍手お礼A−3

(ヨザック+コンラッド)


 
「で?結局どこへ何しに行ってたのかは話せねぇってわけか?」
 戦後に突然行方をくらませ、数年後に突然戻ってきた幼馴染に問えば、相手はただ苦笑した。
 肯定の意だ。
「そ〜かよ。まぁ、無理に訊くつもりはねぇーけど。まさか、かなりヤバイ仕事してきたんじゃないだろうな?」
 その場の空気を変えようと、最後はからかう様に言ってみた。
 相手が「まさか」と笑い、自分も「だよな」と笑い、それでこの話題は終わり。そう思っていた。
 だが幼馴染は、再会してから何度も驚かされた、戦前以上の爽やかで胡散臭い笑顔を浮かべて、こう言い放った。

「そんなはすがアラスカ」

「……は?何だって?」
「そんなはずがアラスカ」
 地球人が聞けば一瞬で凍りつく極寒のダジャレ。
 しかし、お庭番にはもっと別の問題があった。

「おい、そのアラ何とかって……何だ?」

 古代ヌケロニア語?


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アメリカ仕込みの どんなに寒いダジャレも、言葉がわからなければ ただの異国語。(笑)

 まるマ世界広しといえど、次男が帰ってきた辺りの話でこんなくだらないギャグに走った方はいないだろう、と密かに自負。(苦笑)

 

 

 

aicon-hana06年9月25日まで頑張ってくれていた話です。

 

 

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