「おれの大事な宝物に触るな」 初めて出会った時から、アイツはその言葉を口にしていた。 ナンバーワン もう既に、アイツどころかこの海賊団のトレードマークと化している麦わら帽子。 あの帽子にアイツがどんな思い入れを持っているのか、詳しくは知らない。ただそれは、大切な友人から預かったもので、それを返すこともルフィが海に出た理由の一つのようだった。きっと、海賊王になりたがっているのも、その麦わら帽子の元の持ち主が大いに関係しているのだろう。 そんな帽子を、アイツは時々、私に渡す。初めて渡されたのは、ココヤシ村で私がルフィに助けを求めた時。それ以降も、帽子の補正やら、預かっててくれだとかで、何度かアイツの麦わら帽子を手にしたことがある。 やっぱりアイツはアイツだから、帽子の手入れなんてこと、自らするハズもなくて。手にしたそれは、汚れていたり、汗で変色していたり、臭いがしたりする。それなのに私は、それを手渡されることを嬉しく思っている自分を知っている。 アイツが何よりも大切にしていて、「宝」だと言い張って、他者が触れるのを良しとしないその帽子を、なんの躊躇いもなく私に預けてくれる。それは、アイツからの無言の信頼のように思えて。崩れ落ちたアーロンパークで、ルフィが私を仲間だと言ってくれた言葉が嘘ではないのだと、証明してくれているようで。 |
あとがき 30巻を拝読していて、どうにも書きたくなったお話です。 口では自分の身の安全が第一、お宝さえ手に入ればそれでいい、という感じのことを言っているナミさんですが、いざとなればやっぱり。 かつては一番辛い言葉だった「仲間」も、今では普通に口にできているナミさんを見ると、何だか管理人はほっとします。 |