まるマ原作(小説)感想
※管理人はヨザック好きのため、感想が彼に偏りがちになることがあります。ご了承下さいー。
「後は(マ)のつく石の壁!」 意外にも……という言い方はよくないかもしれませんが、ダルコ編はこの刊で完結のようで。早いなぁと思いました。2冊で前後編というのを短く感じるのは、きっと聖砂国編の感覚が残っているからなんでしょうね。 冒頭の独白は次男閣下。もしかしなくても、前刊のグウェンダルの独白と対になっています?どちらにしろ、グウェンダルが可愛くてちょっと可哀想なことに変わりはありませんが。(苦笑) 個人的には冒頭から「グリエ」の名が出ただけで、充分満足でした。自分の中のお庭番成分が枯渇していることを、改めて認識。本編でちょっとでも話題が出れば、それだけで幸せな気分に。(笑) ところで、『秘書とよろしくやっていようが……』とありましたが、グウェンの秘書って確かアンブリンさんでしたよね?ダカスコスの奥さん。(あ、いや、この時点ではまだ元奥さんなのかな?)コンラッドはグウェンに対してどんな印象を持っていたのかしら……。(苦笑) 今刊のまさかの再登場は、ヒューブ&ニコラ夫妻。でもあまり久しぶりな気がしない(寧ろ扱われ方に違和感に近いものまで感じてしまう)のは、前刊のキ−ナン同様、マニメでちょこちょこ出番があって、有利たちとも結構協力してるのを見ちゃってるからなんでしょうね。マニメの影響力ってほんとに凄い。原作のニコラは、マニメよりも更に天然っぷりに磨きがかかっている感じでしたが。(笑)可愛くて面白いなぁ、ニコラ。 でも、「あれ?」と思ったんですが、ヒューブが箱に関することをシュトッフェルに報告していたという件は、既に「いつか(マ)」で出てきていた気がするんですよね……。グウェンダルもギュンターもアニシナさんも、その話をヒューブから直接聞いていたはずですが、今回また知らなかった的な反応が出てきて……まぁ、長くシリーズが続いていればありますかね、こういうことも。(苦笑) あと、過去にヒューブがアニシナさんの実験被害に遭っていたというのは、意外&笑ってしまいました。(笑)やっぱりアニシナ様には男性陣の誰も逆らえないようですね。最強すぎます。 そんな最強の毒女アニシナ様からの、お庭番に対する心強いお言葉!脚は、やっぱり例の大岩でやられているようですが、歩けるようにするとまで仰ってくれましたから、とりあえずは一安心。本当にお願いします、アニシナ様!! ……でも、歩けるようになっても、諜報の仕事に復帰できるレベルにまで回復するかは、まだ謎ですよね。うむむ……。(まぁそもそも、目覚めたヨザックは自責の念にかられるでしょうから、まずはその精神的な部分からの説得になるのでしょうけれど……。) あと、アニシナさんがお庭番に優しく接してくれていたのも嬉しかったです。頬に触れたのは仮死状態の出来を確認するためかもしれませんが、髪を払ってあげたのはきっと優しさ……だと思いたい。よかったね、ヨザック!! 26頁の挿絵のインパクトは凄かったです。青ざめたウルリーケの背に半裸の眞王、髪がひと房ピンと立ってるアニシナさん……きっとまるマを知らない人が見たらカオスな図なんでしょうね。もっとも、知っててもカオスに感じますが。(笑)さすがです、テマリ先生。 アニシナさんのこの鬼●郎ネタは、中の人つながりなのかなぁ……とか思ってしまったんですが、きっと単なる深読みのしすぎですね。(苦笑) 眞王相手に一歩も引かない堂々としたアニシナさん、さすがです。凛々しい!頼りになる!ギーゼラさんを乙女呼ばわりできるのも、色んな意味で凄いです。本当、この二人は過去にどんなお茶会をしていたのやら……。 ウルリーケはこれまたマニメではよく出ていましたが、原作では出番が少なめですよね。しかも眞王運び役&机扱い……「きっと(マ)」で少女のような言動をしていた彼女はどこに。 前刊に続きダルコ編の有利は、いつも以上に、やることなすことが裏目に出てしまっている印象でした。本人はそんなつもりはないし、悪いこともしていないのですが、結果的に悪い方に転がっていく……。最終的には、それで新たな事実発覚に繋がったりしますし、ある意味主人公の宿命みたいなものなんでしょうが、何だか可哀想で……。 懲罰房前半の有利は、特に痛々しかったです。暗闇、そして大切な仲間を失う恐怖。聖砂国地下でのあの経験は、有利にかなりの深い傷を残しているのだと改めて思い知らされました。 それから、鷹目やラナタン所長への説得を、その手のことが得意な人に任せるのではなく自分の力でなんとか頑張ろうとする姿勢には、有利の成長を感じました。 そんな彼を支えるグウェンダルは始終苦労が絶えませんでしたが、やっぱり凄い人なんだよなぁと改めて実感。前刊でのキーナンの言葉にしろ、今刊の鷹目の言葉にしろ、グウェンは理想の上司であり軍人なんだと伝わってきます。 最後の方のシーンでは(詳しくはまた後で触れますが)、自分の立場に揺れながらも、いいお兄さんっぷりを発揮してくれましたし。今刊で、管理人内のグウェンダル株がまた上がりました。素敵です、長男閣下! そして鷹目さん。キーナン兄がこんな形で絡んでくるとは思いませんでした。 彼の戦時中の話は、拝読していて辛かったです。本人にとっては「戦争だったから」という理由で割り切れる程簡単なものではなくて。でもきっと、多くの人はそれを理由にして何とか割り切って、そして生きている。それは悪いことではなくて、きっとそうしないと生きていけない……。それが出来なかった人が、鷹目さん。 最後の有利の説得で、「まるマだし、説得に応じて房から出てくるのかなぁ……」と思いましたが、結局すぐに出てくるということはなくて。そこが妙にリアルだなぁと。でも、希望の残る描き方がされていて、そこはやっぱりまるマらしいなぁと。(←どっちだ。苦笑) キーナンも懲罰房に入りますし、ここの兄弟には少しだけ希望の光が見えそうです。 「鏡の水底」の鍵はやっぱり有利でしたね。マニメと同じく、彼の血液が鍵のようで。となると、ヴォルフの鍵はマニメと同じなら心臓……大丈夫かしら三男閣下!?明らかに怪しい眞王サマに気をつけてーっ!! 「鏡の水底」を閉じてからも、有利の口調が度々変化して不安定なのが心配です。まるマは基本的に文体は有利の一人称ですが、今回のその部分ではこの書き方が特に活きていて! 今後も「鏡の水底」の鍵の初代であるウィンコットの人が、出たり消えたりするんでしょうか?箱と距離をおけば問題ないのか……うーん、やっぱり心配。 そんな箱をめぐる有利のピンチを救うのは、やはりこのお方、コンラッド!ここぞという時に現れるのはやはり、次男閣下の仕様ですね。(笑)冒頭の独白ページ以降出ていなかったとは思えないほどの存在感。 そしてそして、遂に次男閣下が戻ってきました!……でも意外とあっさり?もちろん刊数的には、彼が離脱してから大分経っていますが、だからこそ余計、戻ってくることになる件はもっと色々とこじれたり何だりするのかと思っていました。 でも、その後のグウェンの言動は好きです。本当は弟が戻ってくるのは嬉しいのだけれど、あくまで『たった今、目の前で我が国の王を救った男を…〜』とか『お前は元々眞魔国直属の兵ではなく…〜』とか、自分の私情を切り離した理由を並べて迎え入れるグウェンダルは、さすが自分の立場を忘れていないというか、素直じゃない(笑)というか……。言っていることは冷静なのに、すごく感情的で、こんなグウェンダルもいるのかと驚きました。 そういえば、次男閣下が戻ってくる件でムラケン君の反応が全く出ていないのが気になりました。彼はどんな顔でその遣り取りを見ていたのかしら……ちょっと気になります。 ラスト側の三男閣下。我がままプーの面影は欠片もありません。眞王相手にも、完全には屈していない印象。でも、全忠誠を向ける相手である有利に、隠し事をしなければならず……辛い立場になってしまいましたね。公式サイトのショートショートも、実はそんな苦悩を抱えながら有利と遣り取りしていたのかなと思うと、なんだかしみじみしていまいます。眞王の企みに巻き込まれてひどい目に遭わないといいのですが。 企みといえば、ファンファンがまた急激に怪しい人にランクインしてきましたね。意外でした。今後の話にどう繋がってくるのか……。ツェリ様も、もし真実を知ったらどう動くんでしょうね。 次刊は三男閣下のターンとのことですが、眞魔国にみんなが集まるわけですし、少なからずお庭番の容体も出てくるんじゃないかなぁと期待。(帰国したら、有利はきっと彼の容体を気にしてくれるはず……なので。)いい方向に回復しているといいのですが。 影武者になったニコラとヒューブがどんな日々を送ったのかも、次刊で振り返り程度でもいいので出てくればいいなぁと思います。だって笑わせてくれそうじゃないですか、あの二人。ニコラは天然さんですし、ヒューブはアニシナさんに色々とされてるでしょうから。(笑) |